VO2 maxの結果の読み方
以下のカテゴリは、クーパー研究所の体力分類をもとにした、本ツールの年齢別・性別基準値(ml/kg/分)です。数値が大きいほど心肺持久力が高いことを意味します。
| 年齢 | 性別 | 低い | やや低い | 良好 | 優秀 | 非常に優秀 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 20–29 | 男性 | 33未満 | 33–38.9 | 39–47.9 | 48–52.9 | 53以上 |
| 20–29 | 女性 | 28未満 | 28–32.9 | 33–41.9 | 42–46.9 | 47以上 |
| 30–39 | 男性 | 31未満 | 31–36.9 | 37–45.9 | 46–50.9 | 51以上 |
| 30–39 | 女性 | 26未満 | 26–30.9 | 31–39.9 | 40–44.9 | 45以上 |
| 40–49 | 男性 | 29未満 | 29–34.9 | 35–43.9 | 44–48.9 | 49以上 |
| 40–49 | 女性 | 24未満 | 24–28.9 | 29–36.9 | 37–41.9 | 42以上 |
| 50–59 | 男性 | 26未満 | 26–31.9 | 32–40.9 | 41–45.9 | 46以上 |
| 50–59 | 女性 | 22未満 | 22–26.9 | 27–33.9 | 34–39.9 | 40以上 |
| 60+ | 男性 | 22未満 | 22–28.9 | 29–37.9 | 38–42.9 | 43以上 |
| 60+ | 女性 | 20未満 | 20–23.9 | 24–30.9 | 31–36.9 | 37以上 |
- クーパーの式は若く体力のある軍人を対象に検証されたものです。トレーニング未経験者や高齢者など、その集団と大きく異なる人ほど推定の精度は下がります。
- このテストは12分間を通じてペースを一定に保った全力走を前提としています。序盤の飛ばしすぎや抑えすぎ、風、暑さ、地形はいずれも推定値をずらします。
- フィールドテストの推定値は体力の目安を知るための教育的な数値であり、臨床的な測定値ではありません。基準となるのは呼気ガス分析を伴う実験室でのテストであり、体力の結果は個々の健康状態を踏まえて医療専門職に解釈してもらうべきです。
- 一般集団ではVO2 maxは加齢とともに緩やかに低下します。基準値が年齢別に区分されているのはそのためです。
- クーパーテストは全力を出し切るテストです。ACSMの一般的な運動指針では強度を段階的に上げていくことが重視されています。12分間の全力走はかなりきついため、ある程度長く走ることに慣れてから行うのが望ましいでしょう。
VO2 maxとは
VO2 max(最大酸素摂取量)は、激しい運動中に体内へ取り込める酸素量の最大値で、通常は体重あたりのml/kg/分で表されます。肺・心臓・血液・筋肉が酸素を運び利用する総合的な能力を反映しており、ACSM『運動処方の指針』でも心肺持久力を示す標準的な実験室指標として位置づけられています。
VO2 maxを直接測定するには、実験室で疲労困憊まで漸増運動を行いながら呼気ガスを分析する必要があります。そこで代わりに用いられるのがフィールドテストです。1968年に Kenneth H. Cooper が米空軍隊員のデータをもとに JAMA 誌で発表したクーパーテスト(12分間走)は、12分間で走った距離を一次式でVO2 maxの推定値に変換します。Cooper は対象集団において、このフィールドテストと実験室で測定した酸素摂取量とのあいだに強い相関を報告しています。
心肺持久力は健康指標としての裏づけが豊富です。2016年の米国心臓協会(AHA)科学声明にまとめられた大規模コホート研究では、心肺持久力が高いほど全死因死亡率および心血管死亡率が低いことが示されています。ただしフィールドテストの推定値はあくまで体力の目安を知るための教育的な数値であり、臨床的な測定値ではありません。結果は全身の健康状態を踏まえて専門家に解釈してもらってください。
このVO2 max計算ツールの使い方
- クーパーテストを実施します。十分にウォームアップしたうえで、陸上トラックなど距離が正確にわかる平坦なコースで、ちょうど12分間できるだけ遠くまで走る(または歩く)ようにします。
- 走った距離をメートル単位で入力します。
- 年齢を入力し、性別を選びます。この2つでどの基準値区分に当てはまるかが決まります。
- 推定VO2 max(ml/kg/分)と、それが該当する体力カテゴリを確認します。
クーパーテストの計算式
クーパーの式は、12分間走の距離をそのまま酸素摂取量の推定値に変換します。前提となるのは、12分間を通してペースを一定に保った全力走です。ペース配分の失敗、風、起伏、路面状態はいずれも精度を下げる要因になります。
計算例: 12分間で2,400 m走った場合、推定VO2 maxは (2400 − 504.9) ÷ 44.73 ≒ 42.4 ml/kg/分となります。
回帰式にもとづくフィールドテスト全般に言えることですが、クーパーの式は個人よりも集団の平均をよく予測します。実験室での測定値と数ml/kg/分ずれるのは珍しくありません。また、もともと若く体力のある軍人を対象に検証された式のため、その集団と大きく異なる人ほど精度は下がります。基準となるのは、あくまで管理下で行う実験室でのテストです。
よくある間違い
- 12分間のペース配分にムラがあること。序盤に飛ばして後半失速すると、本来の能力を過小評価してしまいます。
- 距離が正確にわからないコースを走り、距離を目分量で推定すること。200 mの誤差は推定値を約4.5 ml/kg/分動かします。
- フィールドテストによる近似値を、実験室での測定値と同等に扱ってしまうこと。
- 条件の異なる結果どうしを比較すること。風、暑さ、起伏、路面はいずれも走行距離に影響します。
- 長く強度の高い走りに慣れていない状態で、全力を出し切るテストに挑むこと。
よくある質問
VO2 maxはどのくらいあればよいのですか?
年齢と性別によって異なります。本ツールで用いる基準では、20代男性なら39〜47.9 ml/kg/分が「良好」、同年代の女性なら33〜41.9が「良好」に分類されます。基準値は加齢とともに下がるため、25歳では平均的な数値でも55歳では「優秀」になることがあります。一流の持久系アスリートはこれらの範囲を大きく上回るのが一般的です。
クーパーテストはどうやってVO2 maxを推定するのですか?
クーパーテストでは、12分間の全力走で進んだ距離を用います。Kenneth Cooper が1968年に JAMA 誌で発表した研究では、12分間の走行距離が実験室で測定した酸素摂取量と強く相関することがわかり、VO2 max = (走行距離(メートル) − 504.9) ÷ 44.73 という式が導かれました。したがって2,400 m走った場合の推定値は約42.4 ml/kg/分になります。
走行テストによるVO2 maxの推定はどのくらい正確ですか?
フィールドテストは集団の平均をよく推定できますが、個人の値についてはばらつきがあり、実験室での測定値と数ml/kg/分違うのは普通のことです。精度は、ペースを一定に保てたか、距離が正確な平坦コースか、風のない条件か、本当に全力を出し切ったかに左右されます。クーパーの式は体力のある軍人を対象に検証されたため、その集団から遠い人ほど精度は落ちます。
VO2 maxは改善できますか?
心肺持久力はほとんどの人でトレーニングによって高められます。ACSMのガイドラインにまとめられた研究によれば、規則的な有酸素運動はVO2 maxを向上させますが、改善の幅は元の体力レベル、遺伝、年齢、トレーニング内容によって個人差が大きくなります。公表されている指針では、トレーニング量を段階的に増やしていくことが安全面から標準的な進め方とされています。
VO2 maxはなぜ健康にとって重要なのですか?
2016年の米国心臓協会(AHA)科学声明は、心肺持久力が高いほど全死因死亡率と心血管死亡率が低いという豊富なエビデンスをまとめ、体力を臨床上のバイタルサインとして扱うことを提言しました。VO2 maxはその体力を測る標準的な指標です。
VO2 maxは加齢とともに下がりますか?
下がります。横断研究と縦断研究のいずれも、成人では20代半ば以降、VO2 maxが平均しておよそ10年で10%程度低下することを示しています。ただし規則的な持久系トレーニングは低下のペースを緩やかにします。本ツールの体力カテゴリが年齢別に区分されているのはこのためです。
参考文献
- Cooper KH. A means of assessing maximal oxygen intake: correlation between field and treadmill testing. JAMA 1968; 203(3): 201–204.
- The Cooper Institute. Physical Fitness Assessments and Norms for Adults and Law Enforcement. The Cooper Institute, Dallas, TX.
- American College of Sports Medicine. ACSM's Guidelines for Exercise Testing and Prescription, 11th edition. Wolters Kluwer, 2021.
- Ross R et al. Importance of assessing cardiorespiratory fitness in clinical practice: a case for fitness as a clinical vital sign. A scientific statement from the American Heart Association. Circulation 2016; 134(24): e653–e699.
- Hawkins S, Wiswell R. Rate and mechanism of maximal oxygen consumption decline with aging: implications for exercise training. Sports Medicine 2003; 33(12): 877–888.