結果の読み方
公衆衛生のガイドラインでは、活動強度をMET値で分類します。以下の区分はACSM/AHAの身体活動推奨(Haskell ほか, 2007)で用いられている基準に沿ったものです。
| 強度 | MET範囲 | 本ツールでの例 |
|---|---|---|
| 低強度 | 3.0 METs未満 | ヨガ (2.5) |
| 中強度 | 3.0 – 5.9 METs | ゆっくりのウォーキング (3.5)、ゴルフ (4.8)、水泳・中程度 (5.8) |
| 高強度 | 6.0 METs以上 | ハイキング (6.0)、サッカー (7.0)、ランニング時速8 km (8.3)、縄跳び (11.0) |
- MET値は公表された測定データにもとづく集団の平均値です。個人のエネルギー消費量は体力、技術、体組成、環境条件によって変わります。
- 標準的なMETの定義は多くの人にとって安静時のエネルギー消費量をやや高めに見積もっており、その分だけ推定値も少し大きめに出ます。これはコンペンディウム関連の文献でも指摘されている限界です。
- 表示されるカロリーは総消費量(活動中の安静時代謝を含む)であり、安静時を上回る「上乗せ分」ではありません。
- 1週間の数値は同じ内容のセッションを5回行った場合の見込みであり、実測値ではありません。
- 運動による消費カロリーを1日の総エネルギー必要量のなかでどう位置づけるかについては、管理栄養士や医療専門職に相談するのがよいでしょう。
METとは? 消費カロリーはどう推定するのか
MET(代謝当量)は、ある活動のエネルギー消費量を安静時代謝の何倍にあたるかで表した単位です。慣例として1 METは体重1 kgあたり毎分3.5 mlの酸素摂取量、つまり静かに座っているときのエネルギー消費量に相当します。したがって8 METsの活動は、安静時のおよそ8倍のエネルギーを使うことになります。
MET値の標準的な出典は「身体活動のコンペンディウム」です。Barbara Ainsworth らが1993年に初めて発表し、2011年に Medicine & Science in Sports & Exercise 誌で改訂されました。2011年版には、公表された測定データをもとに800を超える活動のMET値がコード付きで収載されています。本ツールはそのコンペンディウムから、ウォーキング、ランニング、サイクリング、水泳、ジムでのトレーニング、スポーツ、家事にわたる代表的な24種類の活動を採用しています。
METにもとづく推定値は集団の平均です。コンペンディウムの著者自身も、個人のエネルギー消費量は体組成、体力、技術、環境条件によって変わり、MET値はそうした違いを反映していないと述べています。この推定値は、活動どうしを比べたり、おおよその合計を把握したりするのに向いており、厳密なカロリー計算には適しません。
この消費カロリー計算ツールの使い方
- リストから活動を選びます。各項目には2011年版「身体活動のコンペンディウム」のMET値が設定されています。
- 体重を入力します。必要に応じてメートル法/ヤード・ポンド法の切り替えをご利用ください。
- その活動を行った時間を分単位で入力します。
- 推定される総消費カロリー、1分あたりの消費量、使用したMET値、そして週5回換算の1週間の目安を確認します。
消費カロリーの計算式
エネルギー消費量は、MET値に体重(kg)と実施時間(時間)を掛けて推定します。これはコンペンディウムと組み合わせて用いられる標準的な方式です。1 METは体重1 kgあたり1時間に約1 kcalに相当するため、METと体重と時間の積がキロカロリーになります。
計算例: 時速8 kmのランニングはコンペンディウムのMET値が8.3です。体重70 kgの人が30分走ると、消費カロリーは 8.3 × 70 × 0.5 ≒ 291 kcal になります。1週間の目安は、同じ内容のセッションを5回行うものとして1回分を5倍した値です。
この式は体重に比例するため、同じ活動・同じ時間なら体重が重い人ほど消費カロリーは多くなります。一方で、体力レベル、フォーム、地形、同じカテゴリ内での強度の違いは考慮されません。「中程度」といっても実際の強度には幅があるため、個人の消費量は推定値とかなり食い違うこともあります。
よくある間違い
- METにもとづく推定値を正確な数値として扱うこと。あくまで集団の平均であり、個人の消費量とはかなり違うことがあります。
- 表示された数値をまるごと「上乗せ分」として数えること。推定値には、何もしなくても消費していたはずの安静時代謝が含まれています。
- のんびりやった運動に高強度のカテゴリを選ぶ(またはその逆)こと。同じカテゴリのなかでも実際の強度には大きな幅があります。
- 実際に動いていた時間ではなくジムにいた時間全体を入力すること。休憩の長いインターバル形式のトレーニングでは推定値が過大になります。
- 同じコンペンディウムのMET値を使っているか確かめないまま、別の計算ツールの数値と比べること。
よくある質問
ランニングでどのくらいカロリーを消費しますか?
2011年版「身体活動のコンペンディウム」では、時速8 kmのランニングは8.3 METs、時速11 kmのランニングは11.0 METsとされています。体重70 kgの人が時速8 kmで30分走ると 8.3 × 70 × 0.5 ≒ 291 kcal、時速11 kmで30分なら約385 kcalです。実際の消費量は個人や環境条件によって変わります。
METとは何ですか?
MET(代謝当量)は、ある活動のエネルギー消費量を安静時代謝の何倍かで表す単位です。1 METは体重1 kgあたり毎分3.5 mlの酸素摂取量と定義され、静かに座っているときのエネルギー消費量、つまり体重1 kgあたり1時間に約1 kcalにおおむね相当します。8 METsの活動は安静時の約8倍のエネルギーを使います。
消費カロリー計算ツールはどのくらい正確ですか?
METにもとづく推定値は「身体活動のコンペンディウム」に収載された平均値を反映したもので、著者らも個人差が体組成、体力、技術、環境条件によって生じると述べています。また標準的なMETの定義は多くの人で安静時のエネルギー消費量をやや高く見積もります。厳密なカロリー計算よりも、活動どうしの比較やおおよその合計の把握に使うのが適しています。
体重によって消費カロリーは変わりますか?
変わります。METの計算式では消費カロリーは体重に正比例するため、同じ活動を同じ時間行った場合、体重90 kgの人は70 kgの人より約28%多く消費します。大きな身体を動かすほど多くのエネルギーが必要で、METは体重1 kgあたりのエネルギー消費量として定義されているためです。
中強度と高強度の境目はどこですか?
ACSM/AHAの身体活動推奨では、3.0〜5.9 METsの活動を中強度、6.0 METs以上を高強度に分類しています。本ツールでは、早歩き(4.3 METs)やゴルフ(4.8 METs)が中強度、ハイキング(6.0 METs)、テニス(7.3 METs)、ランニング(8.3〜11.0 METs)が高強度にあたります。
活動量計の表示と数値が違うのはなぜですか?
手首に着けるデバイスは、コンペンディウムのMET値ではなく心拍数と動きのモデルからエネルギー消費量を推定します。検証研究では、その消費カロリー推定が多い方向にも少ない方向にも大きくずれることがあると報告されています。METにもとづく計算とデバイスの表示が食い違うのは想定内で、どちらも実験室での測定値ではありません。
この推定値には、何もしなくても消費していた分は含まれますか?
含まれます。METにもとづく数値は総消費量、つまり活動中に使われた安静時代謝を含む全エネルギーです。安静時を上回る上乗せ分(正味の消費量)はこれより小さく、8.3 METsのランニングであれば、静かに座っている状態を超える分はおよそ7.3 METs相当になります。
参考文献
- Ainsworth BE, Haskell WL, Herrmann SD, et al. 2011 Compendium of Physical Activities: a second update of codes and MET values. Medicine & Science in Sports & Exercise 2011; 43(8): 1575–1581.
- Haskell WL, Lee IM, Pate RR, et al. Physical activity and public health: updated recommendation for adults from the American College of Sports Medicine and the American Heart Association. Medicine & Science in Sports & Exercise 2007; 39(8): 1423–1434.
- Jetté M, Sidney K, Blümchen G. Metabolic equivalents (METS) in exercise testing, exercise prescription, and evaluation of functional capacity. Clinical Cardiology 1990; 13(8): 555–565.
- Byrne NM, Hills AP, Hunter GR, Weinsier RL, Schutz Y. Metabolic equivalent: one size does not fit all. Journal of Applied Physiology 2005; 99(3): 1112–1119.
- American College of Sports Medicine. ACSM's Guidelines for Exercise Testing and Prescription, 11th edition. Wolters Kluwer, 2021.