絶対値と偏角を理解する
絶対値と偏角は、直交形式a + biを補うもので、複素平面における複素数の位置を極形式で表します。
| 量 | 意味 | 公式 |
|---|---|---|
| 絶対値 |z| | 原点から点(a, b)までの距離——数の大きさ | √(a² + b²) |
| 偏角 arg(z) | 正の実軸から点(a, b)までの角度(ここでは度単位) | atan2(b, a) |
| 共役複素数 z̄ | a + biを実軸に関して対称移動したもの | a − bi |
- 偏角は2引数の逆正接(atan2)を使って求めています。これにより、実部・虚部の符号の組み合わせがどうであっても正しい象限の角度が得られます。単純なarctan(b/a)ではこれができません。
- 0(0 + 0i)による除算は数学的に定義されません。この場合、計算機は任意の値を返すのではなく、結果を返しません。
- 結果は、実部・虚部が小数点以下6桁、偏角(度)が小数点以下4桁で丸められています。
複素数とは
複素数はa + biの形を持ち、aが実部、bが虚部、iはi² = −1で定義される虚数単位です。複素数は実数の数直線を2次元平面(複素平面)へと拡張したもので、横軸に実部を、縦軸に虚部をとって表します。x² + 1 = 0のように実数解を持たない多項式方程式を解こうとするときに、複素数は自然に現れます。
複素数a + biには、もう2つの標準的な指標があります。1つは絶対値|z| = √(a² + b²)で、複素平面上の原点から点(a, b)までの距離です。もう1つは偏角arg(z) = atan2(b, a)で、原点から(a, b)へ引いた線分が正の実軸となす角度です。絶対値と偏角を組み合わせると複素数の極形式が得られます。これは直交形式a + biに代わるもので、乗算・除算・べき乗の計算にはこちらの方が便利なことがよくあります。
複素数は純粋数学にとどまらず実用面でも幅広く使われています。電気工学では交流のインピーダンスと位相を表すのに使われ、制御理論では複素平面上の極の位置からシステムの安定性を解析するのに使われ、信号処理ではフーリエ変換において複素指数関数が欠かせません。
複素数計算機の使い方
- 1つ目の複素数a + biの実部(a)と虚部(b)を入力します。
- 演算(加算・減算・乗算・除算)を選びます。
- 2つ目の複素数c + diの実部(c)と虚部(d)を入力します。
- a + biの形の結果と、その絶対値(大きさ)および偏角(度単位の角度)を確認します。2つ目の数が0 + 0iの場合、除算は定義されません。
複素数演算の公式
加算・減算では、実部同士・虚部同士をそれぞれ組み合わせます。これは通常の代数で同類項をまとめるのとまったく同じです:(a + bi) ± (c + di) = (a ± c) + (b ± d)i。
乗算は2項式の積のように展開し、i² = −1を使って簡約します:(a + bi)(c + di) = ac + adi + bci + bdi² = (ac − bd) + (ad + bc)i。既定値a=3、b=2、c=1、d=−4での計算例:(3 + 2i)(1 − 4i) = (3×1 − 2×(−4)) + (3×(−4) + 2×1)i = (3 + 8) + (−12 + 2)i = 11 − 10i。
除算では、分母から虚部を取り除くために、分子と分母の両方に分母の共役複素数(c − di)を掛けます:(a + bi) ÷ (c + di) = [(ac + bd) + (bc − ad)i] ÷ (c² + d²)。c² + d² = 0のとき、つまり除数が0 + 0iのとき、この演算は定義されません。
結果の絶対値は|z| = √(x² + y²)(x、yは結果の実部・虚部)、偏角はarg(z) = atan2(y, x)を度に変換した値です。11 − 10iの場合、絶対値は√(11² + 10²) = √221 ≈ 14.866、偏角はatan2(−10, 11) ≈ −42.274°です。
よくある間違い
- 乗算の際にi² = −1を忘れること——この置き換えによって、i²bdの項が虚数ではなく実数の−bdという寄与に変わります。
- 分母の共役複素数を掛ける前に、複素数同士を直接割ってしまうこと——直接割ると分母に虚数項が残り、正しい最終形にはなりません。
- 絶対値(大きさで常に0以上)を実部と混同すること——絶対値は√(a² + b²)により実部と虚部の両方を使って求めます。
- 偏角を単純なarctan(b/a)として読むこと——aが負になる第2、第3象限では誤った角度になります。正しい象限を得るにはatan2(b, a)が必要です。
- どちらの入力の組がどちらの複素数に属するか混同すること——この計算機は(a, b)を1つ目の数、(c, d)を2つ目の数として扱い、可換ではない減算・除算ではこの順序がそのまま適用されます。
よくある質問
2つの複素数はどうやって掛け算しますか?
2項式の積のように展開し、i²を−1に置き換えます:(a + bi)(c + di) = (ac − bd) + (ad + bc)i。例えば(3 + 2i)(1 − 4i) = (3×1 − 2×(−4)) + (3×(−4) + 2×1)i = 11 − 10iです。積の実部はac − bd、虚部はad + bcになります。
複素数はどうやって割り算しますか?
分子と分母の両方に、分母の共役複素数を掛けます。これにより分母からiが消えます:(a + bi) ÷ (c + di) = [(ac + bd) + (bc − ad)i] ÷ (c² + d²)。これは(c + di)(c − di) = c² + d²、つまり実数になるためです。分母が0 + 0iの場合、除算は定義されません。
複素数の絶対値とは何ですか?
絶対値|z|は、複素平面上でその複素数を表す点から原点までの距離で、|a + bi| = √(a² + b²)として求めます。実数の絶対値の概念を複素数に一般化したもので、常に0以上の実数になります。
iの2乗は何ですか?
定義によりi² = −1です。虚数単位iは、2乗すると−1になるように定義されており、これによってx² + 1 = 0のような実数解を持たない方程式の解を複素数で表せるようになります。
複素数の偏角とは何ですか?
偏角arg(z)は、正の実軸と、原点から複素数a + biを表す点(a, b)への線分とのなす角度で、反時計回りに測ります。正しい象限を得るためにatan2(b, a)として計算され、この計算機では度単位で表示されます。
なぜ割り算に共役複素数を使うのですか?
複素数c + diにその共役c − diを掛けると、交差項が打ち消し合うため、純粋に実数の結果c² + d²が得られます:(c + di)(c − di) = c² − (di)² = c² + d²。したがって、割り算の分子と分母の両方に分母の共役を掛けることで分母から虚部が消え、標準的なa + biの形の答えが得られます。
参考文献
- Churchill RV, Brown JW. Complex Variables and Applications. 9th ed. McGraw-Hill, 2013.
- NIST Digital Library of Mathematical Functions (DLMF), §1.9 Calculus of a Complex Variable. dlmf.nist.gov.
- Stewart J. Calculus: Early Transcendentals. 8th ed. Cengage Learning, 2015. (Appendix on complex numbers.)