対照試験が示していること
Milanović、Sporiš、Westonによる2015年の系統的レビューとメタ分析は、28件の対照試験、723人の参加者をまとめたものです。平均年齢は25.1歳、開始時のVO2 maxは平均40.8 ml/kg/分で、介入期間はいずれも2週間以上でした。
どちらの方法も、運動しない対照群に比べて大きな改善をもたらしました。持久性トレーニングはVO2 maxを4.9 ml/kg/分(95%信頼限界±1.4)、高強度インターバルトレーニングは5.5 ml/kg/分(±1.2)高めています。両者を直接比べるとインターバルが1.2 ml/kg/分(±0.9)上回りました。差は実在しますが、大きくはありません。
| 方法 | 運動なし対照群と比べたVO2 maxの変化 | 信頼限界 |
|---|---|---|
| 持続的な持久性トレーニング | +4.9 ml/kg/分 | ±1.4 |
| 高強度インターバルトレーニング | +5.5 ml/kg/分 | ±1.2 |
| インターバルと持久性トレーニングの差 | +1.2 ml/kg/分 | ±0.9 |
5ミリリットルという伸びを文脈に置く
約5 ml/kg/分の伸びは小さく聞こえますが、分類に当てはめると印象が変わります。ACSMのパーセンタイル分類では、20〜29歳男性の「低い」は43.6〜48.9、「普通」は49.0〜54.4です。つまり5ポイントの伸びは、標準的な参加者を丸ごと1区分、ときには2区分押し上げます。
メタ分析の対象がどんな集団だったかも見ておく価値があります。平均年齢25歳の健康な成人で、開始時の平均は40.8 ml/kg/分でした。低いところから始めた人ほど伸びしろは大きく、すでに自分の年齢・性別の分布の上のほうにいる人ほど小さくなります。公表された平均値は集団の記述であって、特定の個人への予測ではありません。
個人差は方法の差をはるかに上回る
HERITAGEファミリー研究は、98の二世代家族から集めた481人の座位中心の生活を送る成人を20週間トレーニングさせ、前後にそれぞれ2回ずつVO2 maxを測定しました。平均の増加は毎分400ミリリットル前後でしたが、目を引いたのはその周りのばらつきです。同じプログラムで、ほとんど伸びなかった人もいれば、毎分1.0リットル以上伸びた人もいました。
このばらつきは偶然ではありません。研究では家族間の分散が家族内の約2.5倍にのぼり、トレーニング反応そのものの最大遺伝率は47%と推定されました。言い換えれば、VO2 maxがトレーニングにどれだけ反応するかということ自体に、出発点とは別に遺伝の影響があるということです。
実務的な読み方はこうです。インターバルか持続走かという選択は、個人の反応差に比べればごく小さなてこにすぎません。そして、真剣に取り組んだ期間のあとで結果が思わしくないことは、十分に記録された現象であって、やり方を間違えた証拠ではありません。
この結果が言えること・言えないこと
以上は対照試験から得られた集団平均であり、この記事は情報提供であってトレーニング処方ではありません。プログラムの組み方、けがの履歴、現在の体力、持病の有無はいずれも影響しますが、統合された効果量からはどれも見えません。
- 試験ではどちらの方法も効果を示しました。問うべきは、どちらが正しいかではなく、どちらなら続けられるかです。
- インターバルのほうが平均の伸びはやや大きく、その差は約1.2 ml/kg/分でした。
- 個人の反応はほぼゼロから非常に大きいものまで幅があり、その一部は家族性です。
- 出発点が効いてきます。メタ分析の集団は開始時に平均40.8 ml/kg/分でした。
- 同じ方法・同じ条件で測り直してください。そうでないと、トレーニングではなく天候を測ることになります。
- 最大負荷テストは負担が大きく、持病のある方や長く運動から離れていた方は、事前に医師に相談してください。
よくある質問
トレーニングでVO2 maxはどれくらい上がりますか。
健康な若年から中年の成人を対象とした28件の対照試験のメタ分析では、運動しない場合と比べて持久性トレーニングで約4.9 ml/kg/分、高強度インターバルトレーニングで約5.5 ml/kg/分の上昇が見られました。いずれも2週間以上の介入における集団平均であり、個人の結果はその周りで大きくばらつきました。
VO2 maxにはインターバルのほうが持続走より効果的ですか。
統合された試験では、インターバルが約1.2 ml/kg/分上回り、信頼限界は±0.9でした。実在するものの小さな差です。どちらの方法も、まったく運動しない場合と比べれば大きな改善をもたらしており、同じプログラムを行う個人間の差のほうが、二つの方法の差よりはるかに大きくなります。
トレーニングしたのにVO2 maxが伸びなかったのはなぜですか。
反応の大きなばらつきは、異常ではなく記録された知見です。HERITAGEファミリー研究では481人の成人が同じ20週間のプログラムを行い、ほとんど伸びなかった人もいれば毎分1リットル以上伸びた人もいました。家族間の分散は家族内の約2.5倍で、反応そのものの最大遺伝率は47%と推定されています。
VO2 maxの変化はどのくらいで現れますか。
2015年のメタ分析がまとめた試験はいずれも2週間以上続いており、改善はその長さ以上のプログラムで測定されています。フィールドテストの推定には無視できない誤差があるため、条件を丁寧にそろえない限り、数 ml/kg/分に満たない変化はテスト間のばらつきと区別しにくくなります。
トレーニングしていても、VO2 maxは加齢とともに下がりますか。
心肺持久力は集団全体として加齢とともに低下します。公表されている分類がいずれも年齢別に基準値を設けているのは、まさにそのためです。ACSMのパーセンタイル分類では、良好に達するのに必要な値は20代男性の54.5 ml/kg/分から、70代男性では25.9まで下がります。トレーニングが左右するのは、自分の年齢帯のなかでどこに位置するかです。
参考文献
- Milanović Z, Sporiš G, Weston M. Effectiveness of high-intensity interval training (HIT) and continuous endurance training for VO2max improvements: a systematic review and meta-analysis of controlled trials. Sports Medicine 2015; 45(10): 1469–1481.
- Bouchard C, An P, Rice T, et al. Familial aggregation of VO2max response to exercise training: results from the HERITAGE Family Study. Journal of Applied Physiology 1999; 87(3): 1003–1008.
- American College of Sports Medicine. ACSM's Guidelines for Exercise Testing and Prescription, 12th edition. Wolters Kluwer, 2024.
- Kaminsky LA, Arena R, Myers J, et al. Updated reference standards for cardiorespiratory fitness measured with cardiopulmonary exercise testing: data from the Fitness Registry and the Importance of Exercise National Database (FRIEND). Mayo Clinic Proceedings 2022; 97(2): 285–293.
- Ross R, Blair SN, Arena R, et al. Importance of assessing cardiorespiratory fitness in clinical practice: a case for fitness as a clinical vital sign. Circulation 2016; 134(24): e653–e699.