トルク換算と動力の参考表
最初の行は単位換算係数を示し、残りの行はT = 9,549.3 × kW ÷ rpmで計算した代表的な動力・回転速度の組み合わせにおけるトルクを示しています。
| 入力 | トルク(N·m) | トルク(lb·ft) |
|---|---|---|
| 1 N·m | 1 | 0.7376 |
| 1 lb·ft | 1.3558 | 1 |
| 1 kgf·m | 9.8067 | 7.233 |
| 50 kW @ 1,500 rpm | 318.3 | 234.8 |
| 100 kW @ 3,000 rpm | 318.3 | 234.8 |
| 100 kW @ 6,000 rpm | 159.2 | 117.4 |
| 200 kW @ 4,000 rpm | 477.5 | 352.2 |
- この計算式は、指定された動力と回転速度に対するシャフト部のトルクを示します。ドライブトレインの損失により、同じギア比でもホイールのトルクはエンジンのトルクより小さくなります。
- エンジンダイナモの数値は単一の値ではなく曲線であり、最大トルクと最大動力は異なるRPMで発生します。この計算式は、同じ動作点においてのみ両者を結びつけます。
- kgf·mの結果は換算モードで表示されます。これはSI単位ではありませんが、旧来の文書や一部のアジア市場向け車両の諸元には今も見られます。
トルクとは何か、動力とどう関係するか?
トルクは力の回転版であり、軸を中心に加えられる回転力で、SIではニュートンメートル(N·m)で測定します。1 N·mのトルクは、1メートルの腕の長さに1ニュートンの力を加えたときに相当します。ヤード・ポンド法ではポンドフィート(1 lb·ft = 1.3558179 N·m)が、旧来のメートル法ではキログラム重メートル(1 kgf·m = 9.80665 N·m)が使われます。
動力とトルクは回転速度を介して結びついています:P = T × ωで、ωはラジアン毎秒で表した角速度です。同じトルクで回転速度が2倍のエンジンは、動力も2倍になります。これが、エンジンの最大動力と最大トルクが異なるRPMで発生する理由であり、ギアが(損失分を除いて)動力を変えずに速度とトルクを入れ替える理由でもあります。
この物理法則を実用単位に落とし込むと、実践的な計算式になります。ω = 2π × rpm ÷ 60なので、N·m単位のトルクはワット単位の動力をこの角速度で割った値になり、これを整理するとT = 9,549.3 × P(kW) ÷ rpmになります。定数9,549.3は60,000 ÷ 2πそのものです。
このトルク計算ツールの使い方
- モードを選びます:動力とRPMからトルクを計算するか、既存のトルク値を換算するかです。
- 動力モードでは、キロワット単位の動力と回転速度(RPM)を入力すると、N·mとlb·ftでのトルクが得られます。
- 換算モードでは、N·m単位のトルクを入力すると、lb·ftとkgf·mでの相当値が表示されます。
- hpやPSで表示されたエンジン諸元は、動力モードを使う前にまずkWに換算します(1 hp = 0.7457 kW、1 PS = 0.7355 kW)。
トルク計算の背後にある計算式
回転動力はP = T × ωです。RPMからの角速度はω = 2π × N ÷ 60 rad/sです。トルクについて解くと、T = P ÷ ω = 60 × P ÷(2π × N)になります。Pをキロワットで表す(1,000倍する)と、T = 60,000 × kW ÷(2π × rpm)= 9,549.3 × kW ÷ rpmになります。
計算例:3,000 rpmで100 kWを出力するモーター。T = 9,549.3 × 100 ÷ 3,000 = 318.3 N·mで、これは318.3 ÷ 1.3558179 = 234.8 lb·ftに相当します。換算の例:300 N·mは、300 ÷ 1.3558179 = 221.3 lb·ft、300 ÷ 9.80665 = 30.59 kgf·mに相当します。
よくある間違い
- kWの計算式に馬力(hp)をそのまま使うこと。まず換算する必要があります(1 hp = 0.7457 kW、1 PS = 0.7355 kW)。そうしないとトルクが約34%高く算出されてしまいます。
- 最大動力と最大トルクを同じRPMで比較すること。両者は異なるエンジン回転数で発生し、T = 9,549.3 × kW ÷ rpmは曲線上の同じ動作点でのみ両者を結びつけます。
- lb·ft(トルク)をft·lbの表記やlbf(力)と混同すること。トルクには力と腕の長さの両方が必要です。
- N·mとkgf·mを取り違えること。両者は9.80665倍異なるため、諸元の読み違いはほぼ10倍の誤差につながります。
よくある質問
馬力とRPMからトルクを計算するにはどうすればよいですか?
まず動力をキロワットに換算します(1 hp = 0.7457 kW)。その上でT = 9,549.3 × kW ÷ rpmを適用します。例:300 hp = 223.7 kWを5,000 rpmで換算すると、9,549.3 × 223.7 ÷ 5,000 = 427.2 N·m、約315 lb·ftになります。ヤード・ポンド法の近道式T(lb·ft)= 5,252 × hp ÷ rpmを使えば、馬力から直接同じ結果が得られます。
定数9,549.3はどこから来るのですか?
RPMをラジアン毎秒に換算することから来ています。動力はP = T × ωで、ω = 2π × rpm ÷ 60なので、T = P ÷ ω = 60 × P ÷(2π × rpm)になります。Pをキロワットで表すと分子が1,000倍されるため、T = 60,000 ÷(2π)× kW ÷ rpm = 9,549.3 × kW ÷ rpmになります。
1 lb·ftは何N·mですか?
1ポンドフィートは1.3558179ニュートンメートルに相当します。これは、1フィート(0.3048 m)の腕の長さに働く1ポンド重(4.4482216 N)の力です。逆に、1 N·mは約0.7376 lb·ftです。したがって400 N·mのエンジンは約295 lb·ftを発生させます。
なぜ最大トルクと最大動力は異なるRPMで発生するのですか?
動力はトルクに回転速度を掛けたものだからです。エンジンのトルク曲線は通常中回転域でピークを迎え、高回転で低下します。回転速度がトルクの低下より速く上昇する限り動力は上昇し続けるため、最大動力は最大トルクよりも高いRPMで訪れます。この2つの数値は、同じ曲線上の異なる地点を表しているにすぎません。
kgf·mとは何ですか、今でも使われていますか?
キログラム重メートルは、重量キログラムで表したトルクです。1 kgf·m = 9.80665 N·mなので、30 kgf·mのエンジンは約294 N·mを発生させます。SI単位ではありませんが、旧来の文書や一部のアジア市場向け車両の諸元には今も登場し、通常kg·mやkgmと表記されます。
ギアはトルクや動力を変えるのですか?
ギアは同じ比率でトルクを掛け、回転速度を割りますが、摩擦損失を除けば動力は変わりません。3:1の減速比では、出力トルクは3倍になり、RPMは3分の1になります。これが、1速でのホイールトルクがエンジンの定格トルクをはるかに上回る一方で、伝達される動力は変わらない理由です。
参考文献
- NIST Special Publication 811 (Thompson & Taylor). Guide for the Use of the International System of Units (SI), 2008 — Appendix B torque conversion factors (lb·ft, kgf·m).
- Bureau International des Poids et Mesures (BIPM). The International System of Units (SI Brochure), 9th edition, 2019 — the newton-metre and radian.